みんなの住まい

It’s Tasting 〜名店バイヤーが教える、家飲みウィスキーの嗜み〜

朝ドラ「マッサン」をきっかけに、ウィスキーに関心を持った方も多いのではないでしょうか。家でお酒を楽しむ人が老若男女問わず増加傾向にある中、ウィスキーは糖質がゼロで、他のアルコール類と比べて1杯あたりのカロリーが低いことから健康面を気にする方にも注目を集めています。今回は知る人ぞ知る名店「目白田中屋」のバイヤー平田彩子さんに、ウィスキーの魅力と選び方、お家でも取り入れられる楽しみ方をお聞きしました。

名店のバイヤーが教えるウィスキーの魅力とは

森林浴と同じリラックス効果

ウィスキーは大麦麦芽などの穀物からアルコールを生成し、蒸留させたものを木樽に入れ熟成させて作られています。長いものでは20年もの間じっくりと熟成させることで香りや味わいが増し、その過程で木樽の香りも溶け込んでいきます。木樽の香りを纏ったウィスキーには、森林浴のようなリラックス効果があり、ほっと一息入れたい時や、考え事をしたいときにぴったりの飲み物です。

『永遠に解けない謎「ウィスキー」』

日本のウィスキーコレクター、山岡秀雄さんはウィスキーのことを「永遠に解けない謎」と表現しています。

ウィスキーの魅力は、香りや味わいが複雑であり、それぞれに個性があること。飲み比べていると「田舎から出てきた娘が頑張っているな」とか「優しそうなおじいちゃんだな」というように、ウィスキーそのものがまるで人物であるかのようにみえるところが面白いのです。バーで飲みながら話すと、人によって表現が違うことにも気が付いたりして。正解がない、そこに深みを感じます。

さて、そんなウィスキーをお家で楽しみたいという方のために、まずは夏にぴったりの、冷たく爽快なハイボールの作り方をお教えします。ちょっとしたコツで、バーで飲むあの味が再現できますよ。

プロ直伝!ウィスキーのおいしい飲み方〜ハイボール編〜

■準備するもの

・グラスまたはタンブラー(大きさの目安・300~360ml)
家で作るなら気張らずリラックスできるグラスでOK。今回は少し高さのあるグラスを使いました。
・ウィスキー
銘柄に迷ったら、「ブレンデッド」や「スモーキータイプ」を選びましょう。今回は、ウイスキー特有のスモーキーな香りが引き立つ、ラフロイグ クオーターカスク(アイラ・シングル・モルト/48度)を使いました。
・氷
美味しさを保つには溶けにくい大粒のものがおすすめ。
・炭酸水
泡のきめが細かいもの、炭酸の強いものなどお好みで。
・マドラー
グラスの底まで届く、長さに余裕のあるもの。割り箸でも。

■準備

★ここがポイント!
グラスとウィスキーを冷凍庫で冷やしておくことで、爽快感がアップします。冷凍庫の温度調節は強めに設定してください(蒸留酒は凍りません)
・炭酸水は冷蔵庫で冷やしておく

■つくり方

1)グラスに氷を適量入れる

2)ウィスキーを30ml程度注ぐ(お好みで濃さを調節してください)


3)炭酸水を注ぐ


4)マドラーを使い、底をトンとたたく要領で軽く混ぜる
ここがポイント!…炭酸を飛ばさないために、極力混ぜない


プロ直伝!差をつけるウィスキーの飲み方〜ウィスキーフロート編〜

ウィスキーと水の比重を生かして、見た目にも涼しいフロートを作ってみましょう。

層になっているため、1つのグラスでストレートとソーダ割を楽しむことができます。

※下準備はハイボールと同じです。

1)氷を入れる

2)ソーダを入れる

3)氷の接点にマドラーやスプーン等の先端をくっつけて、ウィスキーを静かに伝わせながら注ぐ

ここがポイント!…ゆっくりと少しずつ注ぐことで、ウィスキーとソーダが混ざらず綺麗な2層に。


ウィスキーに合わせるならこんな食べ物

ウィスキーは、食事よりも軽めのおつまみや甘いお菓子と好相性。ビスケットや生チョコレートなら簡単に準備ができますね。また、軽食ならサンドイッチやローストビーフがよく合います。さらに、日本人ならではの少しユニークな食べ物もご紹介します。

チーズや卵の燻製、いぶりがっこ

特にスモーキーな香りがするスコッチ系のウィスキーは、燻製の香りがする食べ物と相性抜群です。燻製はスモークチップを使って2時間程度で作れます。 (いぶりがっことは、燻した大根で作られた漬物のこと。秋田県の名産品です)

カルメ焼き

味と食感が本場イギリスやカナダで食べられているトフィやファッジと似ていて、どんなウィスキーとも合います。家でも作れるのでおすすめです! 

ウィスキーを選ぶときのポイント

左から、ザ・ネイキッド・グラウス/リトルミル23年/オーヘントッシャン12年

1)シチュエーションに沿った価格帯から選ぶ

ウィスキーは熟成させる過程で少しずつ気化して容量が減るため、熟成年数が長いほど価格が上がります。シチュエーションごとに最適な価格帯があるので、その中でも「定評のある銘柄」を選ぶことがポイント。まずはそれぞれの価格帯からおすすめをご紹介します。

・一日の終わりにほっと一息。気軽に普段飲みするなら…1000円〜3000円

ザ・ネイキッド・グラウス/スコッチ・ブレンデッド/40度 700ml(大写真 左)

コストパフォーマンスに非常に優れた1本で、甘くて濃いリッチな仕上がり。ストレートやロックはもちろん、ハイボールやカクテルにしてもおいしい1本です。ラベルがなくライチョウが刻まれているボトルデザインは、“ワールド・ウイスキー・デザイン・アワード”でも受賞したお墨付き。

・友人を招いて楽しく飲むなら…3000〜5000円

オーヘントッシャン12年/スコッチ・シングル・モルト/40度700ml(大写真 右)

スコッチ・シングル・モルトは個性が強いと言われますが、これは包み込むような優しさを持っており、デリケート&スムースの代表格です。軽快なタッチとフレッシュな果実味、軽やかな甘さ、トーストしたアーモンドやキャラメルの香りが繊細で、飲みやすく柔らかい1本。


・贈り物や記念日に、いつもよりちょっと良いものを飲みたいとき…5000〜10000円

ザ・グレンリヴェット18年/スコッチ・シングル・モルト/43度700ml(小写真 左)

木樽に使用されるオーク木材の香りをベースに、蜂蜜・ローストナッツ・シリアル・キャラメル・オレンジの風味がするまろやかな1本。初心者からウィスキーの達人まで、幅広い層に愛される飽きのこない逸品。


・自分へのご褒美に、大切に飲みたい1本を…10000円~

グレンフィディック21年グラン・レゼルヴァ/スコッチ・シングル・モルト/40度700ml(小写真 右)

シングルモルトが世界で一番売れている「グレンフィディック蒸溜所」のこだわりの1本。ラム樽で4か月間追熟させたことによる暖かく寛容な味わいは、焼きりんご・バニラ・オーク・フルーツケーキのテイストです。

左から、ザ・グレンリヴェット18年/グレンフィディック21年グラン・レゼルヴァ


・スペシャル…平田さんのとっておき

価格別のおすすめを紹介したところで、ひとつ珍しい銘柄も。

リトルミル23年アーリーフライング/スコッチ・シングル・モルト/48度700ml/23,000円(大写真 中央)

スパイシーな飲み口ですが、パパイヤやマンゴーなど、南国系のフルーティな香りで女性や若い人にも馴染みます。

上記でご紹介した銘柄が見つからない時は、同じ価格帯の中から熟成年数やテイストを参考に探してみてください。

都内には品揃え豊富なお店もありますが、特に地方にお住まいの方にとって、こだわりの1本を手に入れることは難しいもの。欲しい銘柄を探す際には、その場で在庫状況も分かるネットショッピングサイトを活用すると、簡単に購入できますよ。

2)色や香りの見分け方

自分の好みを探す時、簡単な選び方として、色で見分ける方法があります。基本的に明るい色のウィスキーはクセがないもの、濃い色のウィスキーはコクがあるものです。ただし、明るい色のウィスキーの中でも「ピーテッド」「ピート」「フェノール」「スモーク」などと記載があるものは、香りが強いということも覚えておきましょう。

いくつか飲み比べをして自分の好みを見つけたら、その銘柄を軸に熟成年数の違うもの、アルコール度数が強いもの、樽が違うもの……と試し、どこに自分が惹かれるのかを追求していくと、より好みに合った銘柄に出会えます。

家庭での保存方法

ウィスキーは保存がしやすく長持ちしますが、以下のことに気をつけると、最後まで美味しく飲むことができます。

・においの強い場所で保管しない
・直射日光は避ける
・開栓後はワインのように空気を抜かず、そのまま栓をする

今週末はグラスの中身をウィスキーに変えて、お酒の楽しみ方を広げてみませんか?

目白田中屋 平田 彩子(ひらた あやこ)

ハードリカーバイヤー/ウィスキーエキスパート

滋賀・京都、東京・横浜でバーテンダーを10年間経験し、目黒THE MASH TUN TOKYOのバーテンダー鈴木徹氏に師事。また、日本のウィスキー3大イベント「Tokyoインターナショナル・バーショー+ウイスキーライヴ」や「Whisky Festival」では、ブースで試飲提供役を担当。


取材協力

[目白田中屋]

東京都豊島区目白3-4-14 田中屋ビル地下

11:00~20:00(日曜定休)

撮影協力

スズキアサコ

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