みんなの住まい

芸術の秋に親子でおでかけ! 東京湾岸エリアのアートスポット

古くからの街並みと新しいものが同居し、進化し続ける“東京湾岸エリア“。まだまだ知られていないその魅力をお伝えするため、「みんなの住まい編集部」がでかけてきました。第1回では、絶景スポットと美味しい食を探しに、レンタルサイクルを利用! おすすめのコースをご紹介しています。

第2回のテーマは、芸術の秋にぴったり、“親子でできるアートの会話”。美術館でじっくり作品と向き合う時間も素敵ですが、湾岸エリアにはもっと気軽に親子でまわれるアートスポットがたくさんあるのです。舞台は広い原っぱや既存の倉庫など、再開発が進む湾岸エリアならでは。触れて、話して、想像して。お子さんの自由な感性をぐんぐん伸ばしてあげましょう。

アートの会話といっても専門知識は必要ありません。月島アートスクールで“おやこクラス”の講師をされている纐纈浩美(こうけつひろみ)さんにナビゲートをお願いし、ポイントを教えていただきました。

アートナビゲーター:月島アートスクール講師 纐纈浩美さん
2人の娘さんのママの視点から、実体験に基づいたアドバイスをたくさんいただきました。

月島アートスクールは、絵画・造形教室運営に加え、デザイン業務、カリキュラムの作成、展覧会企画運営など、「多くの人に美術・造形の時間を」をコンセプトに活動している団体です。


いつもの通り道に、アートを見つけてみよう!

中央区新川と佃を結ぶ中央大橋。かぶとをイメージした主塔と、ワイヤーで吊り下げるモダンなデザインが特徴です。実は、この橋の途中から、彫刻が見られるのはご存知でしょうか。パリ市から友好の印として贈られた「メッセンジャー」は、ロシアで生まれフランスで活躍した彫刻家オシップ・ザッキンの作品です。

夜はライトアップされ、夜景スポットとしても人気の中央大橋(写真左)。「メッセンジャー」はパリ万博に出品された作品(写真右)。東京都はお返しに屋形船をプレゼントしたそうです。

纐纈さんに、お子さんとの会話のポイントを実例をあげて解説してもらいました。

「子どもって、動かないものにあんまり興味を示さないんです。橋を歩きながら『何か見えない?』なんてイメージを膨らませてあげるといいですね。ここからは彫刻の顔が見えないので、『どんな顔をしてるかな』『どこを見ているのかな』というように、想像力を発揮してもらうような問いかけをしてみましょう。」(纐纈さん)

アートをきっかけに、世界に触れてみる

佃の北端、石島公園内にあるのが御影石が敷き詰められたパリ広場。隅田川の心地良い風と緑がすがすがしいこの場所に、フランスと日本の友好を記念して作られたモニュメント「友情から未来へ」があります。250枚ものカラフルなタイルは、中央区で学ぶ日本とフランスの児童が描いたものなのだそう。

友情と未来をテーマに描かれた絵。国旗、凱旋門、富士山など、カラフルで楽しい気分に。

「どの絵が好きか、何色のタイルがあるのか、まずは簡単な質問から投げかけてみましょう。『みんなで手をつないでみよう』って、このモニュメントで表現されている“ひとつになる”ということを体で表現してもらってもいいと思うんです。時間があれば、実際にペンと紙を持ってきて、自分の思う『友情と未来』を描いてもらいます。行ったことのない場所や、そこに住む人々への想像力をかきたててあげましょう」(纐纈さん)

海外では授業の一環として美術館へ鑑賞に出かけたり、写生をしたりということが日常的に行われているようです。日本ではそれほど頻繁にアートに触れる機会がないかもしれませんが、外にあるアートは身近に感じられるところが魅力ですね。

絵はがきで始める親子のコミュニケーション

美術館へ行ったら、帰りにミュージアムショップへ立ち寄るのがおすすめだと語る纐纈さん。

「絵はがき一枚でいいので、子どもが気に入ったものをおみやげに買ってみましょう。思い出にもなりますし、家に帰ってから『どうしてそれが好きなの?』って聞いてみるんです。パパが一緒におでかけできなくても、これなら家族の会話に参加できますね」(纐纈さん)

アートは、親子のコミュニケーションツールとしての役割にもなるようです。

体を動かしながらアート体験ができるアドベンチャー

勝どきにある倉庫を利用して作られた、ファミリーエンターテイメントカフェ&スタジオ「Picnic Cafe WANGAN-ZooAdventure(ズ―アドベンチャー)」。中に入ると、開放的な空間が広がり、実物大の迫力ある動物のモニュメントや大きな立体型遊具が目に飛び込んできます。コワーキングスぺ―スやカフェスペースなども用意されており、ママにもやさしい場所です。

子どもが大好きな要素が盛り込まれた空間。地域の子育て世代はもちろん、休日には遠方から訪れる人も多いという。

子どもが喜びそうなものがたくさん並んでいます。じっくり対話というより、親子で楽しくコミュニケーションがとれるような雰囲気ですね。

「そうですね。大型の遊具は、子どもが好奇心を持つ楽しさと、実際に体を動かして健全に育つことの両面から設計されているようです。子どもは早く試したい、体験したという気持ちが強いので、まずは飽きるまで遊んでもらうのが一番。自分がもし設計士だったらどんな遊び場をデザインするか、どんな材料で作ってみたいか、具体的に聞いてみてもいいですね」(纐纈さん)

「たくさんの要素が組み合わさった大型遊具(写真左)は、体のいろんなところを動かせます。私も娘と一緒に来るのですが、疲れると動物の上に乗って休んでいますよ。休日は大勢の子どもたちで、動物の取り合いです(笑)」(纐纈さん)

都会の異空間で、全身で感じる巨大アート

ゆりかもめ「市場前」駅近くに登場した「新豊洲アート広場」。東京タワーや高層ビル群と広い空をバックに突如現れた異空間!SPORT×ART(スポーツバイアート)は、東京ガス用地開発株式会社が推進する「TOYOSU22」プロジェクトの一環となる活動です。

《ART ZOO》

まるで自分が冒険家になったよう。白い浮輪はひとつひとつが人間の個性を表していて、夜にはさまざまな色に光るそうです。(写真右のリング《TOYOSU RING》)

「これは、パブリックアートという現代アートの表現のひとつです。公共や屋外の空間に設置され、美術館に行かなくても多くの人が作品を楽しむことができます」(纐纈さん)

高層ビル群と広い空とモニュメント。湾岸エリアでしか見られない作品ですね。よく見ると目や色がない動物に、怖いと感じるお子さんもいそうです。

「怖いと感じることももちろん大切です。そんなときは、『何を話していると思う』なんて聴きながら、ショートストーリーを考えてもらうと、イマジネーションが発達します。先ほどのズ―アドベンチャーとは少し趣向が異なり、同じ動物でもどちらかというと大人向けのアート。『どんな色をつけたら楽しくなるかな』など、子どもが楽しくなるように工夫しましょう」(纐纈さん)

《風の色》

防風フェンスにカラフルな絵が描かれた、全長30メートルの巨大作品。

この作品は、この場所にこれからたくさんの人が集まって、いろんな色の風が吹くんだろう、ということをイメージして作られたそう。見る場所によって、作品の見え方も変わってくるようです。

「そこがこの作品のおもしろさですね。せっかくの広い空間です。『風になってみよう!』と走って親子対決しながら、どこから見た風が好きか探してみてください。私は、鮮やかな色から幸せな印象を受けますが、子どもたちはどう感じるでしょうか。“きれいな風”、“かわいい風”、“楽しい風”。どんな形容詞をつけるか、感じたことを素直にことばにしてもらいましょう」(纐纈さん)

アートが身近になると、今度は感じたことを絵や彫刻で表現してみたくなることも。アートスポットめぐりの最後に、纐纈さんが講師を務める月島アートスクールにお邪魔してきました。

日常にありふれたものから美意識を育てる

「アートって、ことばにできない気持ちを表現できるものだと思うんですよね」

そう話してくださったのが、月島アートスクールの主宰を務める野瀬佳枝さんです。

「出来あがった作品を通じて、お子さんが普段どんなことを考えているのか、どんな作品を作り上げていくのか、いろいろな発見があると思います。スクールでは、必ずその日のことを親ごさんに説明するようにしています。お子さんは有名だからではなく、自分が好きかどうかでアートを感じます。お子さんを通して保護者の方も先入観なしでアートに触れることができるのではないでしょうか」(野瀬さん)

月島の住宅街にひっそりたたずむスクールは、大正時代に建てられたもの(写真左)。1階のギャラリースペースは、アートに関心のある人たちの交流の場にもなっているそうです(写真右)。

アートに触れることは、どのように日常の暮らしに活かされるのでしょうか。野瀬さんは、スクールの空間にものひとつ飾るときも、どうしたら美しく見えるのかを常に意識しているそうです。

「作品をご自宅に展示したときどんなふうに見えるか、額装のアドバイスなどもお話することがあります。また普段の生活の中から、雑草でも花瓶に飾ったり、道端に落ちている石をきれいに見えるように並べてみたり、今日の夕食は色合いがおいしそうだねなんて話したり……。お子さんは、日々面白いものを見つけ、感じています。日常のごくありふれたものから、感覚を引き出せることばを投げかけることで、美意識を高めていけると思います」(野瀬さん)

木のぬくもりを感じる2階のスクール(写真左)。自由な感性で作られた子どもたちの作品(写真右)は、わくわく楽しい気分にさせられます。

「また、地域のアートスペースや美術館にはどんどん連れていってあげてください。始めは作品自体に興味を持たなくても大丈夫です。作られた国の歴史や時代背景について話すことで、好奇心を引き出しあげることもできますね」(野瀬さん)

月島アートスクール主宰 野瀬佳枝さん


アートを職業にできるのは限られた人かもしれませんが、アートに触れて美意識をもつことは誰にでも出来ること。今回の取材で、アートは特別なものではなく、とても身近にあるものだと気づかされました。湾岸エリアにおでかけして、アートで親子の会話を増やしてみませんか。

今回ご紹介したアートスポット
■「友情から未来へ」中央区佃2-1-2(石川島公園内)
■「メッセンジャー」オシップ・ザッキン(Ossip Zadkine)作 東京都中央区新川2丁目(中央大橋)
■「Picnic Cafe WANGAN-ZooAdventure」 東京都中央区勝どき4-6-1 泉興産第5倉庫1Fスペース
■「新豊洲アート広場」 東京都江東区豊洲6丁目
■「月島アートスクール」 東京都中央区佃2-14-2

今回ご紹介した「Picnic Cafe WANGAN-ZooAdventure」は三井不動産レジデンシャルが掲げる東京湾岸エリアの地域活性化プロジェクト「WANGAN ACTION」の活動の一つです。「住んでからもお客様に幸せを届ける」をテーマに2020年に向けて変貌を遂げる東京湾岸エリアでは、他にも様々な取り組みが進行中です!

WANGAN ACTION KACHIDOKI TSUKISHIMA TOYOMI HARUMI TSUKUDA TOYOSU ARIAKE SHINONOME TATSUMI

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