みんなの住まい

2025年のマンションって、どんなカタチ?

住宅デベロッパーは今、単に住まいを提供するだけでなく、そこで居住者同士が、あるいは居住者と地域住民がどのような交流や「繋がり」が必要なのか、 といったコミュニティ・デザインにも取り組んでいます。

都市が抱える未来の社会課題は、人との繋がりが希薄になった現代社会に原因があるのではないか? 理想的なコミュニティを育むマンションを開発できれば、未来の社会課題の多くを解決できるのでは? 「Neighbors Next U26 Project」はそうした観点から、未来のマンションがあるべき姿を探求する有志のグループ。近い将来、住宅の購買層となるであろう若い世代で構成されているのが特徴です。

住宅・建築関係ほか幅広い分野の社会人や学生が集う「Neighbors Next U26 Project」。三井不動産レジデンシャルなどの企業・団体が活動をサポートしています。

成瀬・猪熊建築設計事務所の猪熊 純氏(左)、仲建築設計スタジオの仲 俊治氏(右)ほか、三井不動産レジデンシャル、三井不動産レジデンシャルサービスがオブザーバーとして参加。

ひとつのテーマから導き出された3つの提案

今回開催されたのは、半年にわたって彼らが取り組んできた「2025年に自らも住みたくなるマンションの商品企画・ソフトサービスを提案する」グループワークの最終発表会。2015年9月に行われた中間発表会のアイデアを、さらにブラッシュアップさせて臨みます! それでは各チームの発表を順に見ていきましょう。

3課「二拠点居住」を前提とした都市の基地

3課が想像したのは、人々のライフスタイルが、今よりもっと自由になる未来。ライフスタイルの多様化が進む10年後には、現在とは異なる形態の集合住宅が必要になるはず。そこで生まれたアイデアが、地方に生活の本拠を置きながら、都会で仕事を持つ“二拠点生活”が当たり前にできる複合施設、その名も「NEZU Base」です(文京区根津にあると仮定)。
4階建ての建物内では店舗や食堂、オフィス、コミュニティ・スペースと居住スペースが階層によって分かれており、複数の企業によって所有されます。居住スペースは同じ会社の社員、もしくは部屋の契約者複数人でシェア。効率的に運用して会社が負担するコストを抑えます。
田舎でのゆとりある暮らしと、都会でビジネスする機会を、シェアリング&企業による不動産所有という手法で無理なく両立させんとする彼らのアイデア。プライベートも仕事も両方充実させたい! という、若者らしさを感じさせる提案でした。

二拠点生活を前提とした施設「NEZU Base」を提案した3課。農家を営むかたわら、都内でカフェを経営する…なんて憧れの生活です!

1課 マンションを終の棲家にするためのアイデア

「見守り」「健康」「循環(住替え)」「生み出す」といったキーワードを元に、働き盛りの世代から終末期まで、人生を通して暮らせるマンションを提案した1課。実現するためのアイデアは次のようなものでした。

①居住者間の交流を促し、健康で美味しい食事が摂れる食堂
②年齢や家族数の変化に応じ、同じ建物内での住替え(分譲→賃貸または賃貸→分譲)を可能にする永住型レジデンス
③多世代で構成される理事会
④エントランスや廊下を歩くといった日常行動が運動になる仕掛け
同じような間取りの部屋が並んだマンションでは、ライフスタイルの変化に対応できない。それなら1〜2階を単身・シニア向け賃貸、2〜3階をファミリー向け分譲…と、商品企画にバリエーションを持たせ、自らの年齢や家族数の変化に応じて住替えできるようにしてはどうか? 居住者同士で互いを優しく見守り、さらに食事や運動など健康面もマンションでサポートしよう! という欲張りな企画です。
共用部(庭)を中心にリング状に形成される各棟、他の棟で暮らす同世代の居住者と交流を図れる食堂など、人生というシリアスなテーマを扱いながら、楽しいアイデアに溢れているのが印象的でした。

1課は架空の女性「あーちゃん」の生涯を例に、健康的で豊かに一生暮らせるマンションを提案。

2課 共用部の維持管理をフレキシブルかつアクティブに!

2課のアプローチはより現実的。マンションを維持管理する仕組みを作り直そう、というのです。現状の管理費・修繕積立金に加え、「未来貯金」なる共益費を新たに設置。共用部の維持管理を目的としながら、予定外の改良(エントランスをバリアフリーにするなど)や不測の事態にも柔軟に対応できる、新たな共益費をシミュレートしました。
資金調達と合意形成を促すための専用アプリ「未来貯金App」というアイデアもユニーク。改善の要望をアプリに上げると、居住者から資金を募り、投票によって実現の可否を問います。この方法なら、「共有スペースにビールサーバーを設置する」といった娯楽性の高い共用部の使い方ですら実現するかもしれません。

共用部の維持管理費に新たな枠を設け、アプリで運用する…というアイデアを提案した2課。

少しずつ見えてきた、理想的なマンションの未来像

いかがでしたか? いずれの提案も2025年のマンション…といわず、今すぐにでも実現して欲しいアイデアばかりです。

前回の中間発表から飛躍した各チームの発表内容に、オブザーバー陣も感心。仲氏(仲建築設計スタジオ)は「いずれのチームもマンション共用部をきっかけに、街全体を、人々の生活を変えていこう、という広い視点が感じられました」とコメント。猪氏(成瀬・猪熊建築設計事務所)は「ひとつのテーマから3チームが全く異なる未来像を想像し、別のベクトルから提案をしていたのが印象的。建築家はどうしても建物とその周辺に興味を限ってしまいがちだが、それとは全く違う世界と接続することで問題を解決しよう、という皆さんのアイデアは大変興味深かった」と総評しました。

これから彼らには「アイデアを現実のものにする!」という行程が待ち構えています。どんな場所で、どんな風にアイデアが実現するのか、大いに期待しましょう!

仲賞・三井不動産レジデンシャル・グループ賞はハードとソフト両面から未来のマンションを提案した1課が受賞。

あらゆるマンションで実装できる可能性を秘めた、新しい維持管理の仕組みを提案した2課は猪熊賞を受賞。

惜しくも受賞は逃したものの、マンションをきっかけに街のコミュニティ全体、ライフスタイルの在り方まで考えた3課の提案も、オブザーバー陣から高評価を得ました。

Neighbors Next U26 Projectのホームページ
http://u26.jp/

人気記事