みんなの住まい

防災の日は、ご近所さんと「助け合える環境づくり」-食べて、さわって、楽しく防災体験!-

9月1日は防災の日。学校や町会で避難訓練を行う方も多いのではないでしょうか? 万一の時に周囲で声を掛け、助け合える環境を整えておきたいですね。最近のマンションでは、日頃からご近所付き合いをして災害時の連携強化につなげる……そんなアクションが増えてきています。

今年の4月、とあるマンションで開催された「避難訓練・防災春フェス2016」はそんなニーズにマッチした居住者主体の“楽しめる”防災イベントでした。

【イベントが開催されたマンション】

パークシティ南浦和
2013年1月竣工 総戸数211戸
都心部や県内主要都市に通いやすい交通の利便性、子育てに適した環境などから、近年住環境としての注目が高まっている南浦和駅周辺。その南浦和エリアに2013年、“「環境」「防災」「コミュニティ」が育む絆”をテーマに誕生したマンションです。


自然に笑顔が生まれるプログラムが満載!

パークシティ南浦和は、入居開始の翌年から毎年春と秋に共用部を使った恒例イベントが開催されており、多くの居住者が参加されています。防災春フェスは今回で2回目の開催。避難訓練や防災倉庫の備品体験といった防災を主軸に、物々交換や三井のすまいLOOP提供による「ライフフェスタ」など、楽しめる様々な内容を組み合わせたイベントです。管理会社などのサポートを受けながら、居住者が主体となって企画運営しているのもポイント。

今回のメインイベントは何と言っても、居住者が材料を持ち寄って作る、カレー炊き出し体験。事前申込制で、各人が予めカットしておいた野菜を持ち寄り、その量に応じたカレーがもらえる(100gでカレー一食分の食券と交換。ライスは各人持ち込み)仕組みです。午前中から仕込みを始め、午後にリビングサークル(中庭)に大勢の居住者が集まり始めると、美味しそうなカレーができ上がりました。

炊き出しの調理には、災害で都市ガスの供給がストップした時のことを想定し、カセットボンベを複数個つなぐタイプの大型コンロを使用。マンション共有の防災備品として、今回はじめて導入された物です。
「炊き出しの事前告知をする際に、『防災訓練なので災害時、水道が使えなくなった状況を想定し、お皿には予めラップをしてから持参されることをおすすめします』と記載したところ、多くの皆さんが協力してくました。また当日も『私に手伝えることがないでしょうか』と申し出てくださる方がたくさんいらして、参加意識の高さがうかがえます」。
そう話してくれたのはイベントの発案者であり、今回もイベント運営委員として活躍されている牛山さん。炊き出し参加者は当初の想定を上回り、なんと約190食分もの材料が集まったそうです。

防災を義務ととらえずに、思わず参加したくなるプログラムに仕上げているのが、企画運営の巧みなところ。バルコニー隔壁板やぶり体験もそのひとつです。参加した方からは、「想像していたよりも強い力が必要だった。またコツさえ掴めば女性や子供の力でも安全に蹴破れることが分かった」といった体験した人しか分からない感想が出ていました。

住民の積極性に期待! 管理組合メンバーが目指すところ

イベント委員 牛山さん(写真左)

「今回、炊き出しは初の試みでしたが、多くの方が協力してくださったおかげで大成功でした。食材を持ち寄ってくれた参加世帯数は約70世帯でしたので、全戸数の約3分の1世帯に参加いただけたことになります。『つながるギブアンドテイク』と題した物々交換も今回、用意したテーブルが埋まるほどの品が集まり、居住者どうし互いに交流する機会を持ちたい、という意識の高さを実感しました。」

自宅の箪笥に眠っている物や不要になった物を持ち寄り、欲しい物があれば交換してリユースできる「つながるギブアンドテイク」。このマンションでは過去3回実施され、回を重ねるごとに参加する居住者が増えているそう。

管理組合理事長 中林さん(写真右)

「このマンションの管理組合では毎年、役員を新たに選任しています。引き継ぎ業務などは大変ですが、多くの方が役員を経験されることで主催者目線で参加される方が毎年増えていくのは良いことだと思っています。現在、育児などで運営に携わるのが難しい方も、数年後には積極的に関わっていきたいと思える、そんな管理組合運営を目指しています」

防火管理者 前田さん(写真中央)

「年に一度の消防訓練は消防法で指導されているものですが、事務的にこなしても防災意識は高まりにくいと感じています。今回、避難訓練は悪天候により残念ながら中止となってしまいましたが、事前のアンケートでは昨年よりも多くの方が参加の意思を示してくれました。マンションには色々な世代、家族構成の人が暮らしているので全体のコミュニティ形成が難しい面もありますが、防災を切り口にすることで多くの方が参加しやすいイベントにできます」

心地よいマンション生活には、居住者同士のミュニケーションが必須

イベントのサポートをした三井不動産レジデンシャルサービスの大塚さん(写真右)と高岡さん(写真左)も参加者の様子を見て、今後のマンションコミュニティの醸成に期待を膨らませていました。

「居住者の方が自発的に交流の場を作られている、こうした事例は理想的です。管理会社はあくまでサポート。誰もが関心の高い防災をきっかけとしているのが成功されているポイントだと思います」(大塚さん)

「こうしたイベントを通して交流の機会を持つことは、万一の際に有効なだけではありません。互いに顔や名前を知っていることで、無用なトラブルを防げた、という例をこれまで何度も拝見してきました。居住者皆さまのコミュニケーションが円滑なことは、管理会社にとっても本当にありがたいことです」(高岡さん)

いざ、という時には連携が求められる関係にありながら、マンションの居住者どうしが交流する場は意外に少ないもの。何かキッカケがないと話しかけにくい…という声もよく聞かれます。今回のイベントでは、会場に集まった方に簡易なネームタグを付けてもらうことで互いに声を掛けやすくしたり、物々交換などを通して自然に会話が生まれる雰囲気を作られていたのが、とても印象的でした。普段からの交流こそ、防災共助のキホンです。

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