みんなの住まい

住民もマンションも高齢化! もしもの時に安心な、理想の地域連携とは?

近年、マンションに対する永住思考は高まっています。その一方で、居住者の高齢化やマンションにおけるコミュニティの不足を懸念する声も。 永住を決めたマンションとその地域で、末長く安心して暮らすためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。

マンションの広告に増えてきた「永住思考」のキーワード

平成25年の国土交通省の調査*によると、マンション居住者の52.4%が「永住するつもりである」と答え、「いずれは住み替えるつもり」(17.6%)を大きく上回るという結果に。そのようなニーズもあってか、実際に分譲されるマンションにおいても、家族のライフスタイルに合わせて間取りを変更できるプランがあるなど、永住を見据えた住まいの提案が増えています。

*平成25年度マンション総合調査結果より

マンションの高齢化って?

また、同調査によるとマンション世帯主の年齢の割合は60歳代が最も多く、次いで50,40代と続きます。この数字は前回(平成20年実施)の調査時と比べると、60歳代以上が39.4→50.1%と10%以上も増加。例えば分譲当時に若いファミリーが永住を目的にしたマンションだと、20〜30年後には住民のほとんどが高齢者、という状況も珍しくはありません。そこで問題視されているのが、住民の高齢化による自治活動・コミュニティの衰退です。東日本大震災後、有事の際に声を掛け合える「ご近所付き合い」「地域コミュニティの盛り上げ」を求める声が増えているにもかかわらず、実際にはなかなか実行に移せている地域は少ないのかもしれません。

これからは「マンション内」にとどまらない「マンション同士」のご近所付き合い

1982年に分譲された「パークシティ溝の口」は5万m2超の敷地に12棟が連なる大規模マンション。築30年以上が経ち、マンション内の少子高齢化が目立ち始めていました。人手も足りず、年齢の偏りでイベントの盛り上がりも今ひとつ……。そこで企画されたのが、同じ地域に建つ2つの大規模マンションとの合同イベント「溝の口 ご近所マンションイベント」です。

今年6月下旬に開催された「溝の口 ご近所マンションイベントvol.2 炊き出しフェス」は「パークシティ溝の口」(築約34年 1103戸)、「メイフェアパークス溝の口」(築約17年 547戸)、「ザ・タワー&パークス田園都市溝の口」(築約10年 648戸)という3つの大型マンション合同で防災訓練の一貫として行われ、主催した3つのマンションの住民を中心に、多くの方が来場しました。

このイベントには“都市部における理想的なコミュニティの姿”や“コミュニティづくりを促すマンションのカタチ”を探求する26歳以下の若者たちで構成されたグループ「Neighbors Next U26 Project」*(以下U26)も参加しました。今年度の彼らのテーマは「マンションにおけるコミュニティカフェの未来」。居住者の”たまりば”や”居場所”について考えることをミッションに活動し、最終的には実際のマンション居住者に提案するところまでを計画しています。その舞台となっているのが「パークシティ溝の口」です。

イベントに参加したU26のメンバー

ここからはメンバーによるレポートをご覧ください。

U26メンバーレポート【溝の口の3つのマンションが合同で開催したご近所マンションイベント「炊き出しフェス」に参加してきました!】

3マンション合同だからこその防災イベント

「溝の口 ご近所マンションイベントvol.2 炊き出しフェス」では、「炊き出し」をキーワードにした様々なフードブースが出現。地場野菜を使った豚汁や、非常用保存食として重宝されているアルファ米を使った熊本風おにぎり、チャーハンなどが並びました。3マンションが共同でイベントを開催するのは今回が2回目。年始に行われた餅つきイベントで「防災に関する催しを」という声があがったのをきっかけに「炊き出しフェス」が実現したそうです。各活動団体による飲食物のブースが並んだほか、熊本地震の学びをシェアするトークセッションやチャリティライブなども行われました。

運営実行委員会代表の山本さん

今回の運営実行委員会代表の山本美賢(やまもとよしたか)さんはこう話します。
「築34年となる僕らのマンションは、60歳以上の方が年々増加しています。大震災が続き、もしここで災害が起きたら対応できるのか、と危機感を感じていました。一方で、築年数10〜15年の比較的若いマンションのみなさんは、有事の際の防災に対するナレッジが溜まっていないことに危機を感じていて。僕らのほうはネットワークと知見はあるので、そこを共有できたらお互いにとって良いのではないかと考えました」

会場では各マンションの防災への取り組み事例の共有がなされたほか、小学生保護者によるローリングストック料理教室や、段ボールジオラマを用いて災害時対応をシュミレーションするワークショップ、熊本県益城町立広安西小学校PTA会長による被災体験の講演なども行われました。

マンション周辺を再現した段ボールジオラマに、カラーペンで色を付けていく子どもたち

「この活動はマンションの管理組合でも自治会でもなく、住民の有志活動ということで始まりました。これからもこうした取り組みを続けていければと思います」(山本さん)
コミュニケーションが豊富で、かつ物事の進行がスピーディーなので、有事の際に助け合えるコミュニティを醸成する意味でも、防災イベントの開催は有意義な活動だそうです。今後の展開も楽しみです。

運営実行委員会代表の山本さん

今回のイベントに参加したU26チームは、フードブースを一店舗担当。ドイツ風の「ひとくちソーセージ」を作りました(用意した50食はあっという間に完売!)。さらに出店に加えて、マンション企画へ向けた住民調査としてインタビューを実施。パークシティ溝の口は築30余年が経ち、建物と居住者の「2つの高齢化」に直面しています。

課題を深掘りし、居住者がコミュニティのなかでよりよく暮らせるようにするためにはどうすれば良いか、毎回のU-schoolをはじめとする活動で考えています。出店とインタビューを通じて、マンションの方々と交流の機会を持つことで、マンションが抱える課題をよりリアルに捉えられるようになり今後の企画立案、ご提案に向けた関係性を築いてゆくきっかけとなりました。

子連れの家族やお年寄りまで、いろいろな方が立ち寄ってくださいました

イベントの後もU26メンバーからは「第三者の立場だからこそ果たせる役割を担っていきたい」「しっかりと住民の方々と向き合わなければ良い提案が出来ないのでは、と感じた」「調査結果をさらに深く分析していきたい」といった感想が挙がりました。今後もコミュニティカフェの提案に向けて、山本さんを始めとするみなさんとともに、場のあり方を考えていく機会を設けていく予定です。

クロージングで今回の運営メンバーが登壇する際、U26も列に入れていただきました

(U26活動記事より抜粋)

同じ地域に建つマンションが不動産会社の垣根を超えて管理組合同士の交流や合同イベントの開催、マンション管理のための情報交換をおこなうといった動きは、今回ご紹介した溝の口の例だけでなく、有明のマンション群などでも行われています。昔ながらの住宅街によくある「お隣さん」の考え方が、マンションにおいても広がると周辺地域の治安向上、ひいては資産価値向上につながるのではないでしょうか。“安心して長く住まえる環境づくり”を意識して、みんながゆとりある暮らしを送れるようになるといいですね。

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