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どんな項目が重要視されてるの?「住宅ローン審査」のホントのトコロ

住宅購入の際、多くの人が利用する「住宅ローン」。特に初めて利用する方にとっては「ちゃんと審査が通るか不安」「落ちるとどうなるの?」などわからないことがたくさんありますよね。そんな素朴な疑問に、ファイナンシャルプランナーの風呂内先生が答えてくれました!

風呂内 亜矢先生 プロフィール
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
CFP®認定者、宅地建物取引士
2013年、ファイナンシャルプランナーとして独立。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信中。
著書『貯金80万円、独身の私にもできた! 自宅マンションを買って「お金の不安」に備える方法』、2016年9月中旬には新刊『デキる女は「抜け目」ない』を刊行。


相性のよい金融機関を選べば、審査通過に有利になるケースも!? 「住宅ローン審査」の基本の“キ”

——「住宅ローン審査」では、金融機関はどんなことを審査しているのでしょうか?

金融機関は貸し出した資金が問題なく返済されるかを審査しています。借りる人の収入や資産の背景、返済が滞った場合に担保となる物件の価値などを総合的に判断し、融資するかどうかを決定します。資金が無事返済されるようであれば利息が得られるため、できるだけ貸し出しをしたいですし、返済されない恐れがあれば貸し出すことはできません。つまり、審査をすることで金融機関にとっての利益と回収の可能性のバランスをはかっています。

——金融機関によって、違いはありますか?

具体的な審査項目や、どの審査項目を重視するかは金融機関によって差があります。自分の勤務先や資産の状況等の背景とより相性のよい審査基準をもつ金融機関を選ぶことで有利になるケースもあります。例えば収入はあまり高くないけれど勤務先の規模が大きいという背景がある場合、勤務先の規模を重視して審査をする金融機関を選ぶ(一般的にメガバンクは勤務先を重視する傾向があります)と、審査が通過しやすくなります。信用金庫や地元密着型の地方銀行などは、住宅ローンを借りる前からコツコツ貯蓄を積み重ねている履歴を評価してくれるケースもあるようです。

「事前確認マスト」はどれ? 審査の前に押さえておきたい、具体的な審査項目

——審査にはどんな項目があるのか教えてください

多くの金融機関で審査する項目として、完済時年齢、健康状態、担保評価、借入時年齢、勤続年数、年収などが挙げられます。実際に国土交通省が行った「平成27年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、これらの項目は調査に回答した金融機関の95%以上が審査項目に含めると答えています。

「平成27年度民間住宅ローンの実態に関する調査」より(「金融機関が融資を行う際に考慮する項目」上位6項目)

——それぞれの審査項目について、どのような基準を設けている金融機関が多いのでしょうか?

「完済時年齢」については80歳未満、「借入時年齢」については65歳未満、「勤続年数」は1年以上、「年収」は150万円以上という回答が最も多いです。審査を受理されるかどうかの最低ラインの目安ともいえそうです。
健康状態については団体信用生命保険への加入を必要とする金融機関が最も多く、団体信用生命保険に加入できる程度の健康状態が求められていることが読み取れます。
担保評価の項目については融資判断に影響するとの回答が最も多く、借入をする人が同じであっても購入しようとしている物件によって融資が受けられるかどうかや、融資を受けられる比率(物件価格の100%なのか、90%なのか等)の結果が変わるケースもあります。

——項目の中で、特に重要視される項目は何ですか?

同調査では審査項目ごとに点数化して審査を行う「スコアリング方式」を採用していない金融機関が約6割、スコアリング方式を取り入れている金融機関が約4割となっています。各審査項目に特定の目安を決め、画一的に審査をしているわけではなく、過半数以上の金融機関が各審査項目を総合的に判断しているということになります。
多くの金融機関が審査項目に含めている完済時年齢、健康状態、担保評価、借入時年齢、勤続年数、年収などは最低限審査を受け付けられる基準を満たす必要がありますが、重視される度合いは金融機関によって異なります。

気になる「年収」と「借りられる額」のバランスの目安

——年収はどのくらいあれば審査に通りやすいのでしょうか?

単純に「年収がいくらであればいくら借りられる」と言うことは難しいテーマですが、一般的には収入との関係で、総借入額(“そうかり”とも言われます)と返済比率(“へんぴ”とも言われます)という2つの目安があります。
総借入額とは、年収の何倍の借入ができるかという目安です。住宅ローンの場合、年収の7~8倍程度が借りられることが多いです。年収500万円の人の場合、3,500~4,000万円程度の住宅ローンが借りられる可能性があるということになります。
返済比率は年間返済金額が年収のどのくらいの割合にあたるかという目安です。住宅ローンの場合は年収の30~40%程度を借りられることが多いです。例えば3,500万円を金利1%、返済期間35年で借りる場合、月々の返済額は約9.9万円です。年間返済額は約118.8万円(9.9万円×12ヶ月)なので、年収が500万円の人にとっては年収に対する年間返済額の比率は約23.8%(118.8万円÷500万円)となります。なお、返済期間を35年から25年と短くすると月々の返済額は約13.2万円で年間返済額は約158.4万円。同じ金額を借りる場合でも返済比率は約31.7%(158.4万円÷500万円)と高くなります。

——ローン完済までの年数によって、審査のハードルは変わりますか?

住宅ローンは、完済までの年数が長い方が審査は厳しくなりがちですが、借入が多い場合は、年数を短くした結果、年収に対する返済比率が高くなりすぎると、やはり難しくなる場合があります。また、住宅ローン以外に自動車ローンやカードローン、最近では通信端末の分割契約などで月々の支払いがある場合も返済比率や総返済額に加算されるケースもあります。
勤続年数については1年以上で審査を受け付ける金融機関が多いようですが、一般的には3年以上同じ会社に勤めている方が、審査が通りやすいと言われています。同業種間での転職の場合、転職前の勤続年数も考慮してもらえるケースもあります。

審査通過のため、準備しておくべきアレコレ

——審査の前に、対策できることはありますか?

住宅ローンを借りる際には、現時点での他の借入について尋ねられることも多いです。住宅ローン、カードローン、スマートフォンやタブレット端末の分割払いなど、現状を確認しておく対策が有効です。カードローンなどについては、返済をしてから住宅ローンの審査をして欲しいと金融機関から打診を受けることもあります。
また、クレジットカードのキャッシング枠を既存の借入とみなす金融機関もあるため、使っていないクレジットカードなどは解約し、保有する枚数を整理するのもよいでしょう。勤続年数は審査項目として見られることが多いので、住宅ローンを借りる前の転職は避けた方が良いですね。

——どんな職業かによっても、審査のハードルは違いますか?

自営業の人の場合は、収入から経費などを差し引いて所得を確定申告しているかと思います。収入が多くても経費も多く所得が低い場合、住宅ローンが借りづらくなることもあります。通常、過去3年分の確定申告書を提出することになるため、適切な申告を心がけることも重要ですね。

もし落ちたらどうなる!? ドキドキの審査結果

——万が一審査に落ちた場合、住宅ローンは組めなくなるのでしょうか?

住宅ローンの審査は金融機関によって基準が異なります。そのため、1社で審査が落ちた場合でも他の金融機関で借りられる場合もあります。本格的な審査に入る前に、自分の背景と相性のよい金融機関について、購入を希望する物件の営業担当者にも相談し、審査が通りやすい金融機関を複数検討しておくことも必要でしょう。民間金融機関によっては休日に住宅ローン相談会を実施しています。複数の金融機関の相談会に出向いて情報を集めることもできます。また、金融機関によっては勤務先の団体扱いにすることで条件が良くなることもあるため、勤務先の総務部門へのヒアリングも有効です。住宅ローンの金利や利用者の満足度がまとめられた口コミサイトなどもあるため、参考にしても良いですね。一般的にはメガバンクは勤続年数や勤務先など手堅い審査をする傾向があり、フラット35などは比較的融資を受けやすいとも言われています。

審査に落ちた場合、その原因についての説明を受けられないことも多いですが、その時はもう一度、自分の借り入れ状況などを確認しましょう。過去のクレジットカードの引き落とし遅延などが影響している場合、5~7年程度でその影響がなくなることも多いです。

——ほかにも、審査を受けるうえで気を付けておきたいことはありますか?

住宅ローン審査の記録は金融機関間である程度の情報共有がされています。審査が通過したのに借りない、ということを繰り返すと審査履歴だけ積み重なることになります。本当に融資を受けたい時の審査の際に影響が出る場合もあるため、むやみにローン審査を行うことは避けた方がよいでしょう。「購入できるかとりあえず審査を依頼する」ということは避けて、審査を依頼する際は購入するつもりで行いましょう。

住宅ローン審査の基準は金融機関ごとで異なり、総合的な判断をされるケースが多いことから、同じ年収、同じ年齢であっても同じ金額が借りられるとは限りません。年収の7~8倍など概ねの目安を参考にしながら、購入物件の予算を知っておくことや、足りない部分は預貯金などで備えられると理想的です。

——ありがとうございました。

いかがでしたか?
審査基準や借り入れられる金額など、一人ひとりによって基準が違うものなのですね。
審査前の対策などもイメージできたのではないでしょうか。理想の住まいを手に入れるため、自分に合う住宅ローンの可能性を模索できるとよいですね。

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