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プロが教える! 知らなきゃ損する「住宅ローン控除」とは?

マンションや一戸建て、二世帯住宅など、考えるだけで心躍る夢のマイホーム。しかし一方で、ローンの返済はできるのだろうか……と不安を抱く人も多いはず。そんな方に知ってほしい制度が「住宅ローン控除」です。マイホーム購入を考えたことがある人なら耳にしたことがあるかもしれませんが、一体どんな制度なのか、制度を利用するとどんないいことがあるのか、詳しい内容はわからないという人もいるのでは? そこで今回は「住宅ローン控除」について、ファイナンシャルプランナーの榎本充さんに伺いました。

榎本 充さん プロフィール
アクサ生命保険株式会社 中京中央FA支社
ファイナンシャルプラン アドバイザー
お客様との信頼関係を大切に、“お金に関するかかりつけ医”として、ライフプランに合わせた適切なアドバイスを行う。前職では住宅販売営業を経験。ファイナンシャルプランナーのほか、住宅ローンアドバイザーや宅地建物取引士の資格も所有。



「住宅ローン控除」って何?

「住宅ローン控除」とは、住宅ローンを利用して住宅を購入したり、リフォームしたりした場合、一定の要件を満たせば入居した年から10年にわたり、支払った所得税や住民税から控除される制度です。「住宅ローン控除」の制度は、2013年度の税制改正により4年間延長されましたが、その後2014年4月の消費税率の引き上げにあわせて、大幅に拡充されました。

※1 2014年4月以降でも経過措置により5%の消費税率が適用される場合や消費税が非課税とされている中古住宅の個人間売買などは2014年3月までの措置を適用
※2 長期優良住宅、低炭素住宅の場合はそれぞれ300万円(~2014年3月)、500万円(2014年4月~2021年12月)

どれくらい控除が受けられるの?

「住宅ローン控除」は、年末の住宅ローン残高の1%もしくはその年に納めた所得税のうち、どちらか一方の低いほうの金額が所得税から10年間控除される額となります。また所得税から控除しきれない場合には、住民税からも一部控除されます(上限あり)。

※「国土交通省すまい給付金 住宅ローン減税制度の概要」をもとに作成。あくまで3つの額の最も小さい額が控除対象になることをわかりやすく表現したイメージです。

一般的な住宅の場合、対象となる住宅ローンの年末残高の上限額は4,000万円。この1%が控除額となるため、40万円が年間の最大控除額となり、10年間で最大400万円が戻ってくることに。ただ、これはあくまで最大の金額。たとえば年末のローン残高が3,000万円の人は30万円、2,500万円の人は25万円が上限ということになります。国に納めた所得税の額とどちらか低いほうが対象となるため、単純に住宅ローンを4,000万円借りれば、400万円戻ってくるというわけではないのです。

住宅ローン控除でいくらお金が戻るの?

では、実際にいくらお金が戻るのでしょうか。給与収入700万円、所得税が22万1,500円という設定で例を挙げてみましょう。住宅ローン利用額は5,000万円、年末の住宅ローン残高が4,840万円だったとします。

年末残高の4,840万円のうち控除が受けられる上限額は4,000万円のため、その1%は40万円となりますが、支払った所得税(22万1,500円)のほうが低い金額であるため、還付金額は22万1,500円となります。
単純に考えれば、年末ローン残高の4,840万円のうち上限額4,000万円の1%にあたる40万円が還付される計算になりますが、実際には22万1,500円しか所得税を払っていないため、17万8,500円分の枠が余ってしまいます。この余った枠の一部は翌年度の住民税から控除されます。

このように、支払った所得税のほうが低くなることも多いため、所得税から控除しきれなかった住宅ローン控除額を翌年度の住民税から一部控除できるような仕組みになっているのです。ただ、住民税からの住宅ローン控除は、住宅ローンを借りた翌年の住民税からその支払い分が控除されるため、所得税の還付とは違って現金が直接戻されるわけではないので注意しましょう。

もっとお得に利用したい! という人におすすめの方法は、夫婦でローンを借りること。共働きの場合、夫婦ともに所得税・住民税を支払っているため、それぞれが住宅ローン控除を受けることができるのです。

同じく給与収入700万円、所得税22万1,500円の夫が3,500万円を。給与収入400万円、所得税16万7,900円の妻が1,500万円とそれぞれ住宅ローンを借りたとし、夫の年末ローン残高は3,388万円、妻の年末ローン残高は1,452万円とします。夫婦合計の控除額は夫22万1,500円(所得税)+妻14万5,200円(1,452万円の1%)=36万6,700円となり、夫一人で借りるより多く控除を受けられる場合があるのです。ただ妻が出産などで働けなくなった場合は控除が受けられなくなるため、将来についてよく話し合った上で申請することが大切です。

制度を利用するには? 条件をチェック!

「住宅ローン控除」が受けられる条件はいくつかあります。1つでも該当しないと制度が利用できなくなってしまうので、しっかりと確認しておきましょう。

●引き渡しまたは工事完了から6か月以内に居住を開始すること、かつ、制度を受ける年の12月31日まで引き続き居住していること

住宅取得後6か月以内に入居するとともに、控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住している必要があるので要注意。家族の転勤などで住民票を移した時点で、「住宅ローン控除」の制度を利用することはできなくなります。

●住宅ローンの借り入れ期間が10年以上であること

住宅ローンを借りる際に設定する返済期間が10年以上であることが条件になります。ここで1つ注意しておきたいのが、繰上げ返済。ローンの支払い中に余剰資金が確保できた際に、返済を前倒しする方法です。繰上げ返済には、返済期間を縮める「期間短縮方式」と支払い額を減らす「再計算方式」があり、特にこちらから指定しなければほとんどの金融機関では「期間短縮方式」が採用されます。万が一、合計の返済期間が10年より短くなってしまった場合、その時点で「住宅ローン控除」の制度は受けられなくなってしまいます。繰上げ返済はローン返済による負担が減るなどメリットが大きいですが、「住宅ローン控除」を利用する人は注意が必要です。

ほかにも、

●床面積が50m2以上の住宅であること

●控除開始年の年間所得額が3,000万円以下であること

●2021年12月31日までに入居すること

などいくつか条件があるため、事前にしっかりと確認してから申請したいですね。

申請のやり方は?

「住宅ローン控除」の申請についてのポイントは3つ。1つめは入居した年の翌年の確定申告時に税務署に申請すること。2つめのポイントは、給与所得者は2年目から年末調整の際に適用が可能ということ。つまり、確定申告が必要なのは1年目だけで、2年目以降はローンの残高証明書を提出すれば、年末調整で控除を受けることができます。3つめは必要書類。住民票の写しや金融機関が発行する残高証明書、登記事項証明書、売買(請負)契約書など、漏れのないように準備しましょう。

賢く利用して、お得に住宅を購入しよう!

「住宅ローン控除」は、一定の条件を満たしている人なら申請すれば誰でも受けることができる制度です。住宅の購入を検討する際は、「住宅ローン控除」の内容についても把握しておくことが大切です。しかし、「住宅ローン控除」は何度か改正を繰り返しているため、今後も内容の改正が行われたり、制度自体がなくなってしまったりということも考えられます。今のうちに「住宅ローン控除」を賢く利用して、夢のマイホームを手に入れてみては?

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